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15/11/05 引越しコラム column

集団は異物を嫌う 転校生の子どもが馴染めない時の母親のユニーク介入

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転校生がちょっとヤバい

小学校三年生の時に転校してきた僕も一年が経ち、あぁ、そういえば転校生だったね的に、すっかり地域に馴染んでいました。

クラスの1/3くらいは農家という田舎も暮してみると面白く、毒ヘビを捕まえて市役所に持って行っておこづかいを稼ぐなどにはドン引くものの、おおむね平和な日々。

 

そんな中、僕のクラスに転校生がやってきました。男の子でした。父と同じ転勤が多い会社の子で、僕が前にいた所とは違う場所からの転校です。

父と同じ会社なので、僕と同じ社宅(団地)に住む事になりました。「皆さん、仲良くしましょうね」と先生は言い、特に僕は元転校生だし、同じ団地に住んでいるので、「分からない事とか色々教えてあげてね」と特命が下りました。

特命なんて大袈裟な、と思うかも知れませんが、先生が特命と言ったのです。特命なんてカッコイイじゃないですか。男の子なんて単純なので、カッコイイ特命に励む事にしたのです。

 

ところが、この転校生がとてつもなく暗い。転校生は珍しいので、色々話し掛けられます。

この時の正しい対応は、

A『陽気なお調子者』

B『ちょぴり内気だけど良いヤツ』

のどちらかのキャラを演じる事です。

 

なのに彼は、「あぁ…」「まぁ…」「…だね」くらいしか言わないのです。

なんだ…コイツ?クラスに微妙な空気が漂うのに時間はさほど時間かかりませんでした。

転校生は珍しいという好奇心もありますが、仲良くしようという親切心で話しかけてるのに、この対応は、放っといてくれ、と言わんばかりに感じられます。

 

特命を帯びる僕にしても、なんだコイツ?感は否めません。

父と同じ会社の子って事は転勤、引っ越し、転校は経験するハズ。

だから僕はそれ前提で色々と情報収集し、How to転校を編み出したというのに、コイツはそういう事もしてないのか?

どうすんだコレ…。暗澹たる気分になりました。

当時はそんな言葉は知りませんでしたが、思えばあれが人生の初暗澹でした。「これはヤバい。」特命を帯びる僕としては、何か手を打たねば、と思ったのです。

 

子供がダメなら親がいる

今にして思えば、彼は人見知りさんだったんですよね。

でも、子供にコイツは人見知りさんで極度に緊張してるだけだ、なんて分かるワケがない。自分達の好意を無にする、ただの感じ悪いヤツです。

 

家に帰ると母が

「○○君、みんなと仲良く出来そう?」

って聞くので、事の顛末を話しました。

「ふーん…。お母さんは明るい感じの人なのにね…」

言われてみれば確かにそう。

ウチの母も僕が新しい学校に馴染めるか気にかけていたので、彼の母親もきっとそうだろうと思いました。

事がコジれる前に彼の家に遊びに行ってみようと思ったのです。

 

で、友達二人に声をかけ、一緒に行く事にしました。

友達は微妙な顔をしましたが、特命を帯びる僕の立場も考えてくれ、と説き伏せました。

アポなし突撃訪問です。彼は驚いていましたが、新しい友達が訪ねてきた事にお母さんは大喜び。

「ちょうどクッキーが焼けたとこなの。食べてって」

!?

友達二人と目で会話しました。

『なに?』

『クッキーが』

『焼けただと!?』

都市伝説としてクッキーとかケーキを作るお母さんもいる、という事は知ってましたが、田舎でそんなお母さんは見たことがありません。

女子のお母さんは焼いてたのかも知れませんが、女子の家には遊びに行かないので分かりません。

友達の家に行っても、そいつのお婆ちゃんが恐ろしく固いタクアンを、ほれ、と出すのがぜいぜいの身分の子供達です。

「お前のかあちゃんスゲェェェェェ」

羨望の眼差し。戸惑う彼。でも、なんか嬉しそう。

 

クッキーをお皿に盛って来たお母さんが更に言ったのです。

「紅茶でいい?ミルク?レモン?」

VIP待遇!!!

それまでは、夏の暑い時に遊びに行っても、お婆ちゃんが冷たいモン飲むと腹壊すぞ、とあっついほうじ茶を出されてた身分の子供達です。

紅茶なんて父の会社の大切な人が来た時くらいしか出されるモノじゃありません。

自分達みたいな者に、VIPな大人と同じ待遇をしてくれる!

これは衝撃です。気分が悪かろうハズはありません。むしろ自慢できる話です。

友達は舞い上がって、「りょ、両方」と答えたくらいです。

母子の会話の中で、彼がお母さんの事をママと呼んでいたのもアーバンライフ感が漂ってました。

 

コイツは僕らと違うんだ

次第に人見知りが解けてった彼は、僕の時よりはかなりゆっくりでしたけどクラスに馴染んでいきました。

そのクラスに馴染むまでの時間を周りの子供達が与えたワケですが、それは、

『コイツはお母さんがクッキーを焼ける人の子で、子供の友達に紅茶を出す家庭の子なんだから、僕らと違って当然なんだ』

って子供達が認識した事だと思います。

 

集団は異物を嫌う傾向があると思います。

でも、その異物に集団が敬意を払った時、異物は異物のままで受け入れられるんだと思いました。

 

特に彼みたいな人見知りのお子様をお持ちのお母さんは、転校ってかなり気になると思います。

子供の事だからと子供に任せないで、時に子供達の輪に参加してみるのも、子供が新しい環境に馴染みやすくなる手助けになるかもですよ。

お前のかあちゃんスゲェな。面白いな。

子供でも大人でも敬意を払った相手は、決して邪険には扱わないじゃないですか。

この話は、そういう例かもな、って思ってます。

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