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15/05/21 引越しコラム column

共感したい!遠距離恋愛をテーマにしたオススメ文庫本

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恋愛とは、たとえお互いの気持ちが通じ合っているとわかっていても、どこかに切なさが漂うものです。そこに距離と言う壁があれば、その切なさはなおのこと強くなれます。

相手が自分のことを思ってくれていると信じる強さと、自分が相手のことを思う気持ちの強さが試される遠距離恋愛は、様々な小説にも描かれています。

 

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「エンキョリレンアイ」

まずは、小手鞠るいさんの文庫本、タイトルはずばり「エンキョリレンアイ」です。22歳の誕生日、書店アルバイトの桜木花音は、井上海晴と運命の恋に落ちます。しかし、海晴は、アメリカ留学を翌日に控えた身でした。かくして、恋に落ちた翌日から東京とニューヨーク、距離にしておよそ11000キロ離れた恋愛が幕を開けたのでした。

会いたくても会えない。おまけに住んでいる国までもが異なるため、時差の関係で声を聞きたくても、簡単にそれすら叶えることが難しい。そんな困難にも負けず、互いが互いを思いやる気持ちを持ち、それを信じ、恋を愛へと育てていくふたりの課程が、そして13年にわたるふたりの恋愛の結末が、美しく繊細な文章で丁寧に描かれています。

距離を越え、時間を越え、気持ちを強く持ち続けようとしたふたりの姿には、多くの読者は畏敬の念すら覚えるかもしれません。人を想い続けることの難しさと、だからこその素晴らしさを感じさせてくれる作品と言う意味では、遠距離恋愛ものでありながら、多くの人の胸に訴えかけるものがある、また多くの人が共感できる作品だと言えます。

 

「十四歳の遠距離恋愛」

次の文庫本は嶽本野ばらさんの「十四歳の遠距離恋愛」です。嶽本さんの作品の登場人物と言えば、ロリータファッションに身を包んだキャラクターが多いのですが、今作の主人公、名古屋に住む「私」も、やはりロリータファッションに身を包んでいます。

しかし、そのファッションの魅力に目覚めたばかりであるが故に、必死過ぎる「私」のその姿は、クラス中の笑いの的になってしまいます。そんな時、「私」をかばってくれたのが藤森君でした。それがきっかけで、「私」は、「私」とは何の共通点もない、時代錯誤なファッションセンスと言動で有名な藤森君と付き合い始めるのですが、彼が東京に引っ越してしまうことが決定してと言うのがあらすじです。

十四歳と言う思春期真っ盛りの少女と少年の恋愛模様が描かれているだけでも、胸が切なくなることは必至なのですが、おまけにそこに遠距離恋愛と言う要素が加わっているのですから、読者としてはたまらない作品です。

また、十四歳同士だからこその、様々な壁も描かれています。たとえば、相手に会いに行くにしても、まだ中学生である彼女、彼にはお金がありません。それをどうにかして稼ごうとするふたりの姿には微笑ましさを覚える一方、あまりの健気さに涙すら浮かんできます。この辺りは、十代の頃、何かに夢中になったけれど、お金が無くて悔しい思いをしたと言う方には、共感必至だと言えます。恋に落ち、相手を想い、相手に会いたいと願うような気持ちの強さに、年齢は関係ないのだと教えてくれる小説です。

 

「ショートカット」

柴崎友香さんの「ショートカット」は、遠距離恋愛の男女の姿を描いた連作小説集です。距離や時間と言う壁がありながらも、その辛さに時にくじけそうになりながらも、日常のふとした瞬間に感じる相手の存在が、実に丁寧に描かれています。

それと同時に、距離や時間と言う壁はある。けれど本質的には、相手のことを自分の心の中で自由に思うことで、心の距離は無くすことができる。だから相手を想像することで、相手を思うことで、距離や時間だって無くすことができると言うことが描かれています。

目に見える現実だけを信じるのではなく、心の自由さを信じる。忘れがちなその素晴らしさを、本作は描いています。また、柴崎さんの、日常の細かい動作や風景、やり取りなどを、驚くほど丁寧にすくい取り、余すところなく描いている文章力にも注目です。

 

「ほしのこえ」

アニメ映画作品であり、国内外で高い評価を得、その後、様々なメディアミックス展開がなされた「ほしのこえ」も、オススメの作品です。文庫版としては、新海誠さん原作、大場惑さん著で「ほしのこえ The voices of a distant star」として発売されています。

中学生のノボルとミカコが主人公。仲の良いクラスメイトであったふたりですが、3年生の夏にミカコが国連軍選抜メンバーに抜擢されます。ノボルは地球から、そしてミカコは宇宙から、携帯電話でメールのやりとりを続けるふたりでしたが、ミカコが乗る宇宙船が太陽系から少しずつ離れていくにつれ、時間のずれは決定的なものになっていくと言うのが、大まかなあらすじです。

「エンキョリレンアイ」の東京とニューヨークの比ではありません。今作で描かれているのは、地球と宇宙の遠距離恋愛です。距離の存在は勿論のこと、時間の流れ方そのものが異なっている空間で、十代のふたりは懸命に、メールでのやり取りを続けます。

宇宙からミカコが「今」送ったメールが、地球にいるノボルに届くのは、「遠い未来」なのですから、現実はあまりに過酷で残酷です。少しずつ、少しずつ、距離と時間に翻弄されていくふたりの絆。SF的要素も含まれていますが、それ以上に、今作で描かれているのは、大切な人を想う気持ちの温かさです。文庫を読んでみて良かったと思われた方には、是非とも、映画版の方もオススメしたいです。

 

「イニシエーション・ラブ」

一味違った遠距離恋愛ものをと言う方には、乾くるみさんの「イニシエーション・ラブ」がオススメです。学生時代につき始めたものの、男性側の転勤により、離れ離れを余儀なくされたカップルが登場しています。

今作では、男性が主人公として物語が描かれています。ですから、遠距離恋愛中における男性側の思いを垣間見ることができる作品と言うことができます。ですから女性は「遠距離恋愛中、男性はこんなふうに考えるのか」と考えさせられるかもしれませんし、男性は「あぁ、この主人公の気持ち、よくわかる」と強い共感を抱くかもしれません。

ただしこの作品、単なる遠距離恋愛ものとして、漫然と読んでいては本当の面白さに気がつくことはできません。結末に、「あっ」と驚きたいと言う方は、是非、目を皿のようにして読むことをおすすめします。

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