引越しと子どものうつ、どうキャッチする?どう対処する?
なんだか子どもの様子がおかしい?と感じた時には、引越しに伴ううつを疑ってみて下さい。今回は特に幼稚園・保育園のお子さんを持つお母さんに、幼児の引越しうつと対処法について解説します。
引越しは大人にとって人生の転機なのですが、幼稚園や保育園に通っている子どもにとってもかなりのストレスになることが知られています。小さな子は近所の仲間たちと遊ぶことによってコミュニケーション能力を鍛えていて、属しているコミュニティが変わってしまうということは世界全体が変わってしまうのと同じ意味を持っています。
いきなりどきっとさせてしまうことを言ってしまったので、仕事の都合で何度も転勤を繰り返すことを心配されたご両親もいらっしゃると思いますが、環境に慣れるという成功体験をきちんと積み重ねていけば逆に適応力の高い子どもへと成長できることになります。
ではどうすれば成功体験を積めるかというと、ご両親がお子さんの変化に気付いて、乗り越えるようサポートできればいいのです。今回は引越し時の子どものうつ状態をどうキャッチするか、どう対処するかを考えていきましょう。
うつ病とは?
うつ病とは、前頭葉のコントロールをするセロトニンという物質が少なくなることで精神障害を発症してしまう病気のことです。イメージでは心の病気ですが、本当は脳の病気なんですね。
落ち込む、やる気がなくなる、食欲がなくなる、眠れなくなるといった症状が出ているとうつ病が疑われ、より詳細な診察をして診断に至ります。
子どもはうつ病を発症しないと言われていた時代もありましたが、現在は無視されないようになってきています。小学生以上にデータがあるのですが、小学生:8%、中学生:23%という割合で抑うつ傾向にあるとされています。
子どものうつ病の原因は?
子どものうつ病の原因は、親や友達との関係であることがほとんどです。親が自分のことをどう思っているのか、友達は自分のことをどう思っているのか、それを敏感に感じ取り、自分の存在意義が確かめられないと不安にかられ陥ります。
親からしてみたら、天真爛漫な我が子がまさか親のことをそんなふうに見ているとは感じないと思います。子ども自身も頭で理解して感じてはいません。しかし感覚で感じて心に影響を与えるのです。
子どものうつ病の症状は?こんな様子をキャッチ
頭で理解していないので、「今こんな気持ち、こうしてほしい」ということはもちろん発信できません。そして、大人のうつ病者によくある症状を呈さないのも子どもの特徴なので、知っておかないと気付かないことが多いです。以下のような様子はないかチェックしてみてください。
- イライラして落ち着かない
- 好きだったおもちゃやテレビなどに関心がなくなる
- 友達と遊ばなくなる
- 夜遅くまで寝なくなる
- 朝起きれなくなる
- ごはんを食べる量が少なくなる
- ケガをしていないのに身体の痛みを訴える
家での生活の様子が引越し前となんとなく違うなと感じたなら、幼稚園の先生にも相談して、園での様子も教えてもらいましょう。
子どものうつ症状をキャッチしたらどう対処する?
お父さん・お母さん自身の変化に気付く
お子さんの様子が引越し前と違うなと感じた場合、まずはお父さん・お母さん、あなた方自身の変化がないか振り返ってみて下さい。
感情の起伏がなんとなく激しくなって、怒りっぽかったり、悲しみやすくなったりしていませんか?なかなか自分自身で冷静に振り返ることができないので、夫婦で、あるいはご自身のご両親などに客観的に見てもらって下さい。
引越しは人生のライフイベントの中でストレスを感じるイベントとして、結婚や死別などと並んでリストに挙げられています。どのお父さんお母さんでも変化があって当然のイベントです。もし変化があったからといって落ち込むことはありません。まずは認識して、少しだけ気を付けていけばいいのです。
お子さんが一番ご両親の変化に気付いているかもしれません。上手くリフレッシュしてご自身がまずは楽しく生活できるようにしてみてください。
子どもの変化を怒らない
今までより寝なくなった、ごはんを食べなくなったからといって、焦って怒って強要してはいけません。生活の変化がない時期でわがまま心が原因なら、適切に叱るという方法をとるべきですが、引越し後であるなら少し余裕を持って接してあげて下さい。
まず、なぜいつもできていたことができないのか聞いてみましょう。おそらく理由を説明できる園児はいないと思いますが、気にかけている姿勢を見せることが重要なのです。
そして、できないことに注目せず、できたことに注目して伝えるようにして下さい。環境の変化に混乱していて自信がなくなっている時期に誉められることは何よりも嬉しく、適応にエネルギーを注げるようになります。
幼稚園・保育園の先生にも協力を依頼
新しい幼稚園や保育園の先生にも、お子さんの家庭での様子を伝えて協力を依頼しましょう。もちろん先生はプロなので、引越したばかりの子どもへの接し方は心得ていると思いますが、コミュニケーションをとることは大切です。
先生も人間ですから、頼られればより協力したいと感じますし、話しやすければより詳細の報告がもらえるでしょう。10の報告事項があったとすると、関係が作れていると10+αの話ができるものですよね。転園したばかりだからこそ、積極的に先生と仲良くなっておいた方が得策です。
子どもは友達と仲良くできることだけでなく、先生にかわいがってもらえることも求めています。多くの時間を過ごす園の環境が充実することは、うつ病を防ぐ重要ポイントです。見方を変えれば、家庭だけでなんとかしようとがんばりすぎず、幼稚園の先生たちを頼りましょう。お父さん・お母さんだって大変なんですから。
地域の保健師に相談する
もし、うつ症状がなかなか改善しない、あるいは悪化するなら、地域の保健師さんを頼ってはどうでしょうか。うつ病というと心療内科や精神科への受診が思いつきますが、その前のワンクッションとしておすすめです。
心療内科や精神科への受診は抵抗がありますよね、そしてご両親自身も過大な病識を持ってしまいがちで、余計に心配しすぎてケアが上手くいかない場合があります。
引越し先の保健所をリサーチして、保健師さんの窓口を尋ねましょう。疾患への知識だけでなく、地域の情報をたくさん持っているのが強みです。子どものケアはもちろんのこと、お父さん・お母さんのケアも包括的に行ってくれます。それも気軽な範囲で。
幼稚園・保育園の先生からの目線の他にも、分散して別の目線を得ることがいいですよ。
引越しは家族全員にとって大きなライフイベントですが、子どもにとっては絶好の成長のチャンスです。一回一回の引越し経験の課題をクリアしていけば、どの子よりもしっかりした考えを持ち行動できる子どもにきっとなります。
そのために、幼稚園・保育園のお子さんに対しては、きちんと気を配ってあげてください。自信を持たせてあげてください。そして何よりも、お父さん・お母さんががんばりすぎずに上手に人を頼って、楽しく新生活を過ごして下さい!