引越しコラム column

転校先に待っていたのは初恋の男の子


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私の初恋は少し遅めでしょうか、小学校5年生の時でした。
父親の長年の夢である庭付きの大きな家を求めて小学校5年生になる春に他府県の郊外に引越しました。

引越した先の小学校は1学年3クラスしかない古くて小さい小学校でした。最初は「大きな家に住める~」とワクワクしていたのですが、いざ学校が始まると、友達はいないし、周りの話題にも付いていけず、とても寂しかったです。
学校での自分の立ち居地が分からなくて、「学校に行きたくないな…」と思っていたある日、私はいきなり恋に落ちたのです。

 

初恋の男の子

同じ学年で隣のクラスの男の子です。見た瞬間に胸がドキドキ高鳴ったのを今でも覚えています。
その日から学校に行くのがとても楽しみになりました。クラスが一緒でなかったのがあまりにも残念でしたが、休み時間の度に、学年全体での授業の度にその男の子の姿を常に探していました。目に入ってくるだけで幸せでした。

その男の子は学年で1、2位を争うぐらいの人気で、女の子の間でも、頻繁に話題に上っていました。「自分もその子が好き」とは仲良くなった友達にも最後まで言えませんでしたが、その男の子の話題が出る度に、耳がダンボのように大きくなり、「このままずっとそこの子の話題が続いて欲しい」と真剣に願っていました。

当時、遠足や音楽祭など、学校の行事があると、その時の写真が廊下の壁に貼り出されていました。それを見て、自分が欲しい写真を選んで封筒にお金を入れて先生に提出するシステムになっていました。

私は毎回、自分の写真よりその男の子が写っている写真を真剣に探していました。クラスが一緒ではないので、一緒の写真に写る機会は無く、自分が写ってもいない写真を買うのもおかしいし、喉から手が出るぐらいその子の写真が欲しかったです。

唯一音楽祭の写真で、遠くから全体を撮っている写真に、小さく一緒に写っている写真が1枚手に入りました。その写真がずっと宝物でした。

 

新たな生活で新たな出会い

その男の子は人生で一番純粋に好きになった異性だと思います。でも、たった1年間で別々の小学校になってしまいました。

小さい小学校だったのに、その男の子の家の近くに大きな住宅地ができ、新しい小学校が出来た為、その地域の子達は新しい小学校に移る事になったのでした。

一度も話した事も、まともに声を聞いた事もない男の子でしたが、学校に行けばその子の姿が見られるというだけでとても幸せでした。転校は実際してみると友達もいないし、環境も大きく変わるし、子供心にとても不安な日々でした。でも、そんな中、私に光を与えてくれたのがその男の子存在だったのです。

新しい生活には不安や寂しさもあるかもしれませんが、このようにキラキラするような出会いが待っているかもしれません。