1歳の誕生日を盛り上げる一升餅とは?風呂敷は必要?やり方は?
出典:Fotolia
昔からの伝統である一升餅。
1歳の誕生日に一升餅と呼ばれる大きなお餅を、背負させ誕生日を祝う習慣です。
現在でも1歳の誕生日のイベントとして、行われている伝統的なイベントですよ。
昔は誕生日のお祝いは、1歳のときだけでした。つまり、一升餅は人生で唯一の誕生日パーティーともとれるイベントです。
そんな1歳の誕生日を盛り上げてくれる、一升餅の種類や理由、やり方などをご紹介していきます。
一升餅とは?
一升餅とは、大きなお餅のこと。重さはまちまちですが、1キロから2キロぐらいの重さのお餅です。縁起ものなので、ピンクの文字で「祝」や子供の名前が書かれているものが主流。
しかし、なんのことか実態がわからないパパやママもいるのではないでしょうか?
それもそのはずです。一升餅を用いてお祝いする習慣は全国共通ではなく、各地域によって異なります。
一升餅を知らない人が、少なからずいてもおかしくありません。
聞いたことのある言葉だけど、「普通のお餅じゃないの?」「何が違うの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
その一方、「我が子にもお祝いをしてあげたい」と考えているパパやママもいるかもしれません。
それでは「どんな由来があるのか」「どういう意味があるのか」など、ご紹介していきますので参考にしてみてください。
一升餅と呼ばれる由来
1歳の子供の成長を願うためにはじまったこの風習。子供の一生の成長を願い、子供が一生食べることに困らないように、そんな思いから「一升餅」と名付けられ、広まっていきました。
日本には七五三さんなど、子供にまつわる祝い事がたくさんあります。そのほかには、ひな祭りもありますよね。すべてに共通しているのは、子供の成長を願うという気持ちです。
海外にももちろんありますが、宗教に結びついたものが多く、日本とはとり行う理由も異なります。一升餅も日本独自の文化として、後世に伝えていく価値は十分あるでしょう。
ただ、昨今ではお餅を食べる習慣も衰退の一途を辿っています。核家族化も進んでいることから、イベントや行事をコンパクトに済ませるご家庭も増えているのは、誰しもが実感していることです。
例えば現代の家庭では、パンを一升餅に見立てることが増えています。ほかにも、インスタ映えのするハート型から、子供の顔写真がプリントされたものまで様々。どれもこじんまりと小さく行われているのが特徴です。
これも現代のニーズに合わせた結果だと言えるかもしれませんね。
なぜ背負うのか?
では、なぜ一升餅という、約2キロ近い大きなお餅を、わざわざ背負わせるのでしょうか。
一説によると、子供が一生食べ物に困らないように、元気でいられるようにというのが起源だそう。
子供の健康や将来を祈って始められた文化ということですね。
地方によって異なる祝い方
地域によっては何も知らない地域や、知っているが特にやらない地域、必ず行う地域などそれぞれ。
ママとパパの出身地によっては、ママとパパだけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんと相談して決めるご家族が多いようです。
特に最近は徐々に衰退してきていますので、必ずやらなければいけないということはありません。
ただ、地方によってやり方は異なりますので、その違いをご紹介していきます。
東日本の背負い餅
一般的に日本に広く伝わる方法が、背負い餅です。一升餅を風呂敷に包み、1歳になる子供に背負わせる方法です。
約1キロから2キロ程あるものを、小さな子が持つのは困難であり、転んでしまう子供がほとんど。
ですがこの場合、1歩だけでも歩ければ、「これからの人生を着実に歩んでいける」とされています。
九州地方の踏み餅
一升餅を大地と見立て、子供にわらじを履かせて餅を踏ませお祝いをします。「地に足を付け人生を謳歌」できるようにと、願いがこもっているのです。
一般的な背負い餅とは異なり、踏むだけなので子供には優しい儀式ですね。ただわらじを用意するのが手間ですので、最近はわらじを使わないところも増えてきています。
各地域の転ばせ餅
一升餅を背負わせ、わざと子供のお尻にお餅をぶつけ、転ばせるスタイルです。「こどもにお餅をぶつけるなんて」と、抵抗感を覚えるパパとママもいるでしょう。しかし、厄落としとしての意味があり、本当にぶつけるのではなく、ぶつけるそぶりだけでもいいのです。
子供の健康や将来を願うのであれば、試してみてもいいかもしれません。
風呂敷はどうしたらいい?
ここまで一升餅の意味ややり方についてご紹介してきました。ここからは、背負い餅のときに必要な風呂敷についてご紹介をしていきます。
風呂敷にも選び方がありますので、参考にしてみてください。
風呂敷の選び方
風呂敷は、90cm程の物を用意してください。ただ、日常生活で風呂敷を使用することも少なくなっているので、ご自宅に風呂敷がない場合は、大きな布なので代用しても大丈夫です。最近ではインターネットで一升餅を購入すると、風呂敷が付いてくることもあります。
風呂敷の結び方
風呂敷を選んだところで、次に結び方を覚えましょう。適当に結ぶと、お餅が落下してしまうこともあるので、正しい結び方をするようにしてください。
- 風呂敷を平の場所に置く
- 風呂敷の中央に一升餅を置く
- 一升餅を包むように風呂敷を被せる
- 両端をくるくると巻く
- 両端を結ぶ
あとは、斜めに背負わせ風呂敷の両端を子供の胸の前で結びます。この時、胸が圧迫されていないか、余裕があるか確認しながら背負わせることが大切です。
一升餅を使ったあとはどうする?
イベントが終わったあと、お餅はどうしたらいいのでしょうか?
食べるならカットしよう
一升餅をそのまま食べることは困難。一口サイズに切って食べましょう。
ですが、空気に触れるとお餅は時間がたてばたつほど、硬くなってしまいます。
そんな時はお餅をラップに包み、レンジでチンすることで柔らかくなります。
硬くてカットできなかったお餅も、柔らかくなるので生活の知恵を使って、ありがたくお餅をいただきましょう。
保存するのもあり
お餅は冷凍保存することも可能です。
1つ1つラップに包み保存してください。
保存期間は半年から1年程であり、1歳のお祝いの一升餅を1年かけて食べるのも、なんだか粋な感じがします。
食べきれないからと捨てることはせず、冷凍保存して縁起物のお餅をいただいてください。
1歳を祝う儀式は一升餅だけではない
1歳の誕生日を祝う儀式は一升餅だけではなく、「選び取り」と呼ばれる儀式が執り行われています。
選び取りは、1歳の子供の将来を占います。
家庭にある身近な品物を数種類集め、子供に1つだけ品物を選ばせ、その選んだ品物によって未来を占います。
イベントの願い
地域によって多少異なるようですが、
- 「筆」は学者や画家
- 「ハサミ」美容師やデザイナー
- 「そろばん」は商売人
- 「定規」はしっかりもの
- 「お箸」は料理人
- 「お金」は裕福な生活が送れる
と言われています。
現代では、サッカーボールや野球ボール、バスケットボールなどを用意して、スポーツ占いを行う家族もいますよ。
ほとんどの家庭ではあまり行われていない行事ですが、1歳の誕生日をお祝いするイベントとして開催してみてはいかがでしょうか。
まとめ
かつては人生でたった1度だけ誕生日の祝い事として、一升餅を用いてお祝いをしていました。
どの年代の親たちも、子供の幸せを心から願い、長年この習慣は執り行われてきました。
是非、お子さんの一生に一度の1歳のお誕生日を一升餅と選び取りで、お祝いしてあげてください。
お祝いされる1歳のお子さんはもちろんのこと、きっとパパやママ、ご家族にとって忘れられない誕生日祝いとなるでしょう。