赤ちゃんの頭の形が悪いのはなぜ?原因や予防法について
赤ちゃんの頭蓋骨はもともと繋がっていない
大人の頭蓋骨とは違い、赤ちゃんの頭にはとても柔らかい部分があります。
産まれたばかりの赤ちゃんの頭蓋骨は、5枚の骨によって分かれており、分娩時に骨が重なり合ったり隙間を縮めたり、頭の形を変えて産道を抜けられるようにできています。
それだけでなく、脳の成長を頭蓋骨が妨げることのないようにつくられているのです。
5枚の平たい骨によってできる頭頂部の隙間を、「大泉門」と呼び、後頭部にできる隙間を「小泉門」と呼びます。
この柔らかい部分のすぐ内側に髄膜や脳があるので、赤ちゃんの頭を触るときは注意が必要です。
頭のかたちが原因で外見が変わることもある
頭蓋骨の隙間の部分は、赤ちゃんが成長するにつれて小さくなっていきます。
生後8ヵ月程になると頭蓋骨が固くなりはじめ、隙間が完全にわからなくなるのは2歳頃だといわれています。
したがって、寝るときの姿勢で一定の箇所だけ圧迫されたり、授乳時の抱き方の癖などによって、頭の形がいびつになることも多くありますが、これは珍しいことではありません。
頭のかたちが少しいびつに見えても、成長して頭蓋骨が大きくなっていくにつれて目立たなくなっていきます。
ですが、重度の変形の場合、表情や外見、発育に大きく影響することもあるので、常に意識をして見守ることが大切です。
また、病気の可能性もあるので、気になる場合は専門家に相談しましょう。
ゆがみの種類と傾向を知っておきましょう
赤ちゃんの頭のゆがみには、大きく分けて3種類あります。
赤ちゃんの頭のゆがみの種類と傾向を知ることで、効果的な対策をとれるようにしましょう。
斜頭症
赤ちゃんの頭のどちらか一方が圧迫される状態が長時間続くことによって変形してしまった状態です。赤ちゃんの頭のゆがみで、一番多いケースです。圧迫された部分がへこみ、反対の圧迫されていない部分が突出する傾向があります。
この状態が悪化すると、耳や目の位置が変わり、顔が左右非対称になってしまうことがあります。
短頭症
仰向けで寝る状態が続いてしまったために、後頭部全体に圧がかかり、平らになってしまった、いわゆる絶壁頭と呼ばれる状態です。
後頭部が平らになること、頭頂部が普通より高くなること、顔が横に広くなるなどが特徴です。
長頭症
横向きで寝る状態が長く続いたことなどにより、側頭部に圧力がかかり、頭が縦に長くなっている状態のこと。
この頭の形は、寝姿勢などの普段の傾向によるものの他に、通常より早く頭蓋骨が引っ付いてしまったためにおこる「頭蓋縫合早期融合症」の可能性もありますので、専門家に相談しておくと安心でしょう。
先天的、後天的、遺伝的原因によって変形が起こることも
先天的な理由
お母さんの子宮が小さかったり、双子でスペースがなかった場合などに頭が圧迫され、変形するケースがあります。
また産道を通るときの圧力や、吸引分娩などによる圧力で変形するケースもありますよ。
後天的な理由
主に、寝るときの姿勢や、ベビーカーで長時間同じ姿勢を続けることで変形していくことがあります。こういった理由による変形は、生後3ヵ月くらいから目立ちはじめます。
首が座ったあと、仰向けで後頭部を下にして寝る時間が増えることで、短頭症になってしまうことがあるようです。
また授乳時など、就寝時の向きと同じでないと嫌がってしまう赤ちゃんもいるので、いろいろな姿勢での授乳を試してみましょう。
遺伝的な理由
お父さん、お母さんの片方もしくは両方が絶壁頭だと、赤ちゃんもそうなりやすいといわれています。
遺伝によって起こる頭の変形は、注意深く対策をとることで軽度で済む場合があるので、あまり心配しないようにしましょう。
日々の対策で変形を防ぎましょう。ヘルメットによる矯正治療も
後天的な頭の変形をできるだけ防ぐために、いくつか方法をまとめました。
ドーナツ枕
後頭部にあたる部分がへこんでいる、または穴があいている形の枕です。
寝るときに圧迫される部分が後頭部に集中することのないような形になっていますが、活発な赤ちゃんの場合はあまり効果が発揮できないことも。赤ちゃんの性格などに合わせ試してみることをおすすめします。
親が頭の位置を変えてあげる
お父さんやお母さんが定期的に寝返りをうたせてあげることで、頭の一箇所だけに力が加わることをある程度避けることができますよ。
すでに向き癖がついてしまってときでも、音のなるおもちゃを向いてほしい方向に置くことや、寝るときのお母さんの位置など、注意を引くものの配置を考えることで向き癖を変えられることもあります。
ヘルメットによる治療
赤ちゃんの頭の形に合わせたヘルメットを作り、矯正していくこともできます。
変形が中等度または重度の場合は使うことを考えても良いでしょう。
オーダーメイドを作ることで、赤ちゃんの頭に合わせた効果的な治療ができますが、ほかの対策と比べて費用がかかってしまいます。専門家と相談の上で、必要な場合使うようにしましょう。
大手メーカーの類似品、粗製品などがあるようですので、テストがしっかりされている信頼のあるものを使うようにしましょう。
うつ伏せ寝は新生児突然死症候群の原因になることも…
かつては、頭の形を悪くしないようにと赤ちゃんをうつぶせ寝にさせる親も多くみられました。
現在ではこのうつぶせ寝が、SIDS(乳幼児突然死症候群)を引き起こすことなどが指摘されており、あおむけ寝が推奨されています。特に生後一年間は、窒息などを防ぐためにもあおむけ寝をさせるようにしましょう。
月齢に合わせた対策を!
赤ちゃんの月齢によって、骨のひっつき具合や、固さが変わっていきます。
月齢に合わせて効果的な対策をとりましょう。
0ヵ月~3ヵ月
首がまだ座っていないので、抱っこするとき、寝かせるときなどは、同じ姿勢のままになりやすいです。
お母さんがときどき頭の向きを変えたりするなど、同じ姿勢にならないように気を付けましょう。
4ヵ月~6ヵ月
首が座り、赤ちゃん自身が自分で向きを決められるようになるので、それまでの変形が改善していくことが多いです。
就寝時は向き癖がつきやすいので、お気に入りのおもちゃやクッションを置く位置を変えてみて、極力赤ちゃんが同じ方向を向き続けることがないように注意してみてください。
また、光のある方向に向く赤ちゃんもいるので、たまにベッドの位置を変えたり、寝かせる方向を逆にしたりするなどの工夫をしてみてはいかがでしょうか。
7ヵ月~12ヵ月
ハイハイや、つかまり立ちなど、寝ている時間が少しづつ減っていきます。そのため、今まで目立っていたいびつな形も、自然に丸みを帯びていきます。
赤ちゃんもより活発に、行動的になるので、今までの方法ではうまくいかないことがあるでしょう。
また、この時期から頭蓋骨の隙間がなくなり、骨が固くなりはじめる赤ちゃんもいます。
日々の対策で改善が難しいこともあるので、変形が目立つ場合は専門家に相談することも考えましょう。
気にしすぎる必要はありませんが、注意深く観察しましょう
産まれたばかりの赤ちゃんの頭は、頭と体のバランスや、少ない毛量のせいで、よりいびつな形にみえてしまうこともありますが、成長とともに目立たなくなっていくケースがほとんどです。
心配事はつきませんが、お父さん、お母さんの心の健康のためにも、気にしすぎは禁物です。
ただし、頭の変形には病気の可能性があることも忘れてはいけません。気になる場合は専門家に相談しましょう。