妊娠中のセックスは安全?胎児への影響や注意点は?
妊娠中にセックスをしてもいいのか?
セックスは子孫を残すためだけでなく、夫婦間のコミュニケーションの一つとしてとても大切な行為です。しかし、妊娠中ともなると話が変わってくる、と思っている方が多いのではないでしょうか。母体や胎児への影響を考え神経質になるあまり、セックスを一切しなくなってしまう夫婦もいるかもしれません。
円満な夫婦関係のためにも、赤ちゃんのためにも、妊娠中の性行為について正しい知識を持つことが大切です。
妊娠中のセックスは完全に安全を保障されたものではないですが、パートナーへの配慮を持ち、できるだけ安全な方法で行えば妊娠中でもセックスをすることは不可能ではありません。
妊娠中のセックスによる影響
胎児や母体に妊娠中の性行為がどんな影響を与えるのか解説します。
胎児への影響
妊娠中のセックスとなると、激しい運動の影響で赤ちゃんを傷つけてしまうのではないか、といった心配もあるのではないでしょうか。しかし実際には、セックスによって胎児が傷つけられる心配はありません。ペニスが子宮口に接触することはあったとしても、子宮の中の赤ちゃんに触れてしまうことはないのです。
出産への影響
妊娠初期のセックスが直接流産に繋がることはありません。ただし、精液の中には様々な細菌が含まれており、この細菌がきっかけで起こる炎症から早産や破水に繋がる可能性があります。妊娠中は女性の身体の免疫力も衰えているのでコンドームの着用は忘れずに。指にも細菌がついている可能性があるので、手指の挿入も避けた方が無難といえます。
母体への影響
赤ちゃんを宿したお母さんの身体は免疫力が落ちており、感染症にかかりやすい傾向があります。また精神的にもナーバスになりがちです。もしかしたら、パートナーの匂いも受け付けられないような瞬間もあるかもしれません。そういった時は、やはり無理にセックスをするべきではありません。お互いの気持ちと身体を尊重した態度を取るように心がけましょう。
以上のことから、妊娠中のセックスが絶対にNGというわけではないのです。
こんな場合はNG、セックスしてはいけない10のサイン
妊娠中にセックスすることが必ずしも間違ってはいないことを解説してきました。しかし、以下のような症状が出ている時はセックスを控えましょう。
- お腹が張っている
- 出血がある
- 破水している
- 前置胎盤と診断されている
- 切迫流産・切迫早産の兆候がある
- 流産・早産の経験がある
- 多胎出産(双子や三つ子)の経験がある
- 感染症にかかっている
- 子宮頸管が短いと診断されている
- 上記以外の理由でも、安静にするように医師から指示を受けている
妊娠中の女性の身体は非常にデリケートです。感染症にかかっている場合はもちろんのこと、感染症に対する免疫がなくなっている破水後や、セックスによる子宮収縮が悪化に繋がりかねない切迫流産・切迫早産の疑いがある場合、出血している場合にもセックスは控えましょう。パートナーが感染症にかかっている場合にもセックスをするべきではありません。少しでも疑いがあるのなら自分たちで判断するのではなく、病院でより正確な診断を受けるようにしてみてください。
妊娠中のセックスで気を付けること
身体を清潔にしてから行う
妊娠中のセックスは普段以上に身体を清潔にしてから行いましょう。できれば二人ともお風呂に入ってから行為を始めるのがベストです。妊娠中の女性の身体は免疫力が落ち、感染症にかかりやすくなっているので僅かな細菌でも炎症を起こしたり、破水や流産に繋がったりする可能性があります。
乳房を刺激しすぎない
女性の身体は乳房、特に乳頭を刺激すると子宮が収縮します。あまり強く刺激するとお腹が張ってきたり、場合によっては痛みを覚えたりすることもあるのです。また、女性によっては妊娠中に胸を触られることに不快感を覚える方もいるようです。赤ちゃんが産まれた後には母乳が出る大切な部位でもあるので、乳房に対する愛撫に関してはパートナーとよく相談し、理解してもらうことが必要となります。
オーラルセックスには細心の注意を払う
オーラルセックスは性感染症の感染経路となり得ます。もし感染症の可能性がある場合、女性から男性への愛撫だとしてもコンドームを装着して行ってください。また、男性から女性へのオーラルセックスの場合は更に注意が必要です。男性が膣内に息を吹き込むことにより、血管内に入った空気で空気塞栓が起こると母体・胎児の双方に危険が及びます。雑菌が入る可能性もありますので、妊娠中のオーラルセックスは控えた方がいいかもしれませんね。
必ずコンドームを装着する
妊娠しているから避妊しなくても良い、というわけではありません。むしろ
妊娠中は必ずコンドームを装着すべき
といえます。
免疫力が低下した妊娠中の女性は感染症にかかりやすくなっています。感染症予防のためにもコンドームは必須です。
また、精液にはプロスタグランジンというホルモンが入っており、このホルモンには子宮を収縮させるはたらきがあります。
子宮の収縮は早産や流産に繋がる可能性もありますし、精液が細菌を運び込むことにより炎症が起こる場合もあるので、やはりコンドームの装着は必要といえます。
激しいセックスはしない
妊娠前に激しいセックスをされていた方は特に気を付けた方が良いでしょう。妊娠中はソフトなセックスを心がけてください。
妊娠中はデリケートになるのはおわかりかと思いますが、特に妊娠後期にもなると子宮口や頸管が柔らかくなり出血しやすくなってしまいます。少量の出血なら問題はありませんが、あまり出血が多いようなら様子を見て医師の診断を受けるべきです。
女性に負担の少ない体位で行う
妊娠中期~後期になってくると女性のお腹はかなり膨らんできます。正常位のような女性が仰向けになる体位はどうしても女性の負担になってしまうため避けるべきでしょう。
比較的安全といわれるのは後側位です。
お互い横を向いて後ろから挿入すればあまり深い挿入もできない上、女性のお腹を圧迫することも少なく済むため比較的安全にセックスを行えます。対面座位や背面座位等の座ったままできる体位も女性への負担が少ないですが、男性には少し苦しいかもしれません。
アナルセックスは厳禁
妊娠中はアナルセックスをするべきではありません。妊娠中は子宮が大きくなった分、肛門の周りの血液の循環が悪くなり、痔になりやすい状態になっています。また、直腸内の細菌が膣内に入り込むことで感染症にかかる可能性もあります。母体・胎児ともに負担が大きいので妊娠中のアナルセックスは控えるようにしてください。
妊娠中は安全でソフトなセックスを
妊娠中であってもパートナーとの性交渉が完全になくなってしまうのは、少し寂しいものですよね。
妊娠中のセックスはリスクを考えれば100%安全ではありませんが、夫婦の関係維持のためにセックスによる愛情表現がないと、出産後のセックスレスにつながることもあるので、ケースバイケースで、パートナーと相談して決めるのが理想です。
夫婦の今後のためにも、ある程度の性交渉はあった方がいいのかもしれません。
しかしながら妊娠中の性欲の振れ幅には個人差があり、性欲がなくなってしまう女性もいれば、むしろ性欲が強くなる女性もいます。その一方で男性の性欲にも変化が見られる場合もあるのです。妊娠中のセックスには注意しなければならない点が多く、それが気がかりで性交渉をためらってしまうカップルも多いそうです。
妊娠中のセックスに関して、女性は男性の性欲を理解する必要がありますし、男性は自分の欲望を満たすことだけを考えずに女性の妊娠による変化を汲み取る必要があります。もし、セックスに対して気乗りしないとしても、感情的になって否定してはいけませんし、パートナーに強要してもいけません。きちんと自分の今の状況を説明し、お互いの理解を深めることも、セックス以上に大切な夫婦の絆を深めるコミュニケーションの一つといえるでしょう。
男性側がセックスを求める場合は、今回この記事で説明した内容を伝え、どんなリスクがあるかを知ってもらうことが第一歩ではないでしょうか?
お互いの気持ちとお腹の赤ちゃんの健康を尊重しながら、夫婦の大切な時間を営んでいけるといいですね。