子どものいじめから逃げるための引越しはありかなしか
子供のいじめに関するニュースを、耳にする機会が多いですが、実際に自分の子供が、いじめの被害者だった場合、どうすれば苦しんでいる子供を救えるのでしょうか?
学校や加害者との話し合いをしても改善が見られない場合、引越しをして、環境を丸ごと変えてしまうという方法もあります。
引越しをすることで、物理的に距離ができ、結果、確実に今あるいじめから逃れることができます。
しかし、引越しとなると、両親の通勤の状況や兄弟も転校させなければならないことなど、様々な問題が噴出します。
また、引越し=逃げることという考え方もあり、賛否両論です。
ここでは、いじめの対処法としての引越しについて考えてみます。
いじめとは
いじめは、段階を踏んで、徐々にエスカレートしていきます。
最初は仲良しグループの中であった行き違いやちょっとしたケンカがきっかけとなり、グループから無視されたり、軽度の嫌がらせを受けたりといったことから始まります。
この段階では、ケンカの延長線上で、加害者、被害者ともいじめの意識が薄く、元のわだかまりが解消することで、いじめが解決することも多いです。
初期段階で解決できなかった場合、一つのグループから受けていたいじめが、別のグループに派生していきます。
別のグループの子が、直接いじめ行為に加担しなくても、被害者がいじめられているということがわかると、周囲が被害者に関わることを避けるようになり、被害者はどんどん孤立していきます。
最近のいじめは、一人に対して複数で行い、大人数で一人の被害者を追い詰めるといった傾向があります。
また、携帯電話を使った嫌がらせも増えており、学校にいる時間だけではなく、24時間、一日中嫌がらせのメールが届くなど、被害者が安らげる時間がなく、どんどん追い詰められてしまうのです。
楽しいはずの学校で、暴力や嫌がらせを受け、孤立し、家に帰ってからも、休みの日も、安らげる時がない。
そんな毎日が永遠に続く。
最近のいじめは、昔のいじめよりずっと、陰湿で被害者が追い詰められてしまうのです。
いじめに気づいたら
子供は、自分がいじめられていることを、家族に心配をかけたくないという気持ちや、いじめられていることの罪悪感などから、親や教師にはなかなか言えません。
そこで、大切なのは、親が子供の変化に気づくことです。
なんだか元気がない。学校が楽しそうではないといった心理的な変化や、怪我が増えたり、持ち物が急にボロボロになったり、通学時の服の汚れ方などといった、外見的な変化など、何かおかしいと思ったら、子供に聞いてみましょう。
自分からは言い出せなくても、聞かれることで、気にかけられていることに安心し、いじめを受けていることを話しやすくなります。
いじめの初期段階で気がつくことができれば、話し合いなどで解決できる可能性が高まります。
子供に長期間つらい思いをさせないためにも、早い段階でいじめに気づくことが大切なのです。
いじめに気づいたら、まずは学校、加害者と話し合いましょう。
学校側に公になることで、いじめが収束することもあります。
話し合いで解決が望めない場合は、被害者と加害者のクラスを分けるなどの措置をお願いしてみましょう。
環境が変わること、また時間割などの行動が変わることで、被害者と加害者の距離が開くようになり、いじめの改善につながります。
それでも改善が見られない場合には、登校を拒否する。
また、引越しをして転校するなど、子供を守るために、学校に行かずにすむ方法を選択するのもありだと思います。
いじめから解放されるための引越し
いじめられていることが判り、学校や加害者とも話し合ったが、収束の兆しが見えない場合には、引越しをして、加害者と物理的に距離をとることをお勧めします。
新しい住居、勤務先への通勤、兄弟の転校、そしてそれにかかる一連の費用や労力。
引越しするとなると、正直、クリアしなければならない問題は山積みです。
手間も時間も労力もかかります。
でも、苦しんでいる子供は、今の状況から、確実に解放され、毎日を安心して、笑って過ごせるようになります。
今のいじめは、一人対集団。
みんなでやれば怖くないという心理で暴走していく傾向にあります。
その結果、大切なわが子が、大怪我を負ってしまったり、自殺を考えるようになってしまったりしてから、後悔しても遅いのです。
今の段階でいじめに気づけたのですから、これ以上苦しい思いはさせず、引越しをしてでも、子供の心と体を守りましょう。
いじめが原因で引越しするのは逃げることなのか
いじめられたから引越しをするのでは、子供の問題解決能力や、コミュニケーション能力が育たないのではないか?
引越しで解決するのは、いじめから逃げることではないのか?そうお考えの方もいらっしゃると思います。
もし一対一のケンカであれば、相手と向き合い、逃げずに話し合いで解決することでコミュニケーション能力が育つでしょう。
しかし、一対クラス全員が相手では、話し合いにすらならないのです。
数十人の加害者に一人で立ち向かうことは、集団リンチにあいにいくようなもので、これを回避することは、決して逃げることではありません。
いじめという言葉でまとめられていますが、その内情は、暴行であり、恐喝や侮辱など、いじめという言葉がなければ、即犯罪になる内容です。
暴行や恐喝の被害者に、加害者と話あって自分で解決しろ。とは言いません。
いじめの被害者と加害者もそれと同じことです。
引越しは、簡単にできることではありません。
しかし、引越しすることで、いじめられている今の環境からは確実に抜け出すことが出来ます。
大切なわが子の心と体を守れるのならば、引越しで得られるものは大きいです。
もし、自分の子供がいじめを受けていると気づいた時には、確実に子供を守ることができる、引越しという選択肢を考えて頂ければと思います。
皆さんはどうお考えでしょうか。