幼なじみへの恋を大切に、純粋な気持ちで大人になる方法。
幼馴染みって言葉は私には甘酸っぱい。
幼馴染み
私にはたくさんの幼馴染みたちがいた。男の子も女の子もたくさんいた。
その地域には同じくらいの年の子供たちが集中していて子供会は大賑わいだったのをよく覚えている。
子供会のイベントは大盛り上がりで、何をしても楽しかった。
学校へ行く道も、帰る道もたくさんの幼馴染みたちと一緒。近所の大人たちもみんな知り合い。そんな恵まれた温かい環境で私は幼い時間を過ごした。
大好きな一つ年上の彼
その中でも特に私のことを大切にしてくれていたのが一つ年上の彼だった。
彼は年の離れたお兄さんと二人兄弟だったので自分より年下の私を産まれた時から可愛がってくれた。
私は幼稚園に入る頃には彼のことが大好きで、大きくなったら彼と結婚するんだと思っていた。
彼のお母さんにも色々探りをいれて、写真をもらったり、彼が好きだというお菓子を分けてもらったりしていた。
彼のいる空間はいつもキラキラ、フワフワしていて特別だった。
小学校になり、幼馴染みたちと一緒にかくれんぼをしたとき、彼と一緒の場所に隠れたことがあった。
大丈夫かな、ここ見つかっちゃうかななんて二人で話して鬼が来るか来ないか心配するふりをしていたが、私はそんなことどうでもよくって、彼と二人で狭い場所に隠れているということに、心臓をバクバクさせていた。
彼も少しドキドキしてくれていたような気がする。今でも彼の顔がはにかんでいたのを思い出す時があるから。
突然の引越し
そんな日々を過ごしていたある日、両親が小学校を変わることになったんだよと私に言った。
突然のことで意味が分からなくて現実味がなかった。
でも学校の先生に話し、友達に話し、彼の家族に話した時私ここからいなくなっちゃうんだなって実感が湧いてきた。
彼の家族に挨拶に行ったとき彼は部屋から出てきてくれなかった。
それが悲しくて寂しくて、もう私はいなくなっちゃうから仲良くしてもらえないのかなって、急に泣き出してしまった。
あとで彼のお母さんが「あの子あなたがいなくなるのが嫌でちゃんと挨拶できなかったの、ごめんね。まだ部屋から出てこないけど泣いているのかも」と言いに来てくれた。
それを聞いた瞬間、私はどこにも行きたくなくて泣いて泣いて親を困らせてしまった。
私が引っ越したのは隣りの県だった。
幸い同じ時期に転校してきた女の子がいて、私はその学校にすぐなじむことが出来た。
最初は不安だったし、話し方が違うと言って笑われたりしたけど、彼のことを思い出すと不思議と頑張れた。
前の学校の友達から連絡が来るたび彼が元気にしていることを教えてもらえたし、近くにいたときよりも離れて彼のことを考えるとずっと頑張れた。
純粋な子どもの頃の気持ちを忘れずに
そして転校してから10年が過ぎた頃、私は大学生になった。
それまでに好きな人は出来たけど、彼のように思える人は一人もいなかった。
大学の友人と次の講義の教室に向かおうとしたとき、ねえと男の人に肩を掴まれた。
私が振り向くとなんと見覚えのあるキラキラした彼の顔。私の体は10センチくらい浮いていたかもしれない。
「この大学に友達がいてさ、遊びにっていうか俺のこと覚えてる?」と真っ赤になって私を見つめる彼の瞳に恋をしようと思えたのは、引っ越しで離れたことによってあの純粋な子供の気持ちの頃のまま彼を見つめることができたからかもしれない。