子どもが中学3年でも家族で引越し?単身赴任かどちらを選ぶ?
私は家族で3回の引越しを経験した主婦です。全て夫の転勤が理由です。
子どもが小さかった2回は悩むことはなかったのですが、子どもが大きくなってくると、子どもを転校させてまで家族で引越しをするべきなのか、夫に単身赴任をしてもらう方が良いのか、悩むようになりました。
結果的に家族みんなで引越しをし、上手く新生活にも馴染むことができましたが、みなさんもお子さんに学校というコミュニティーができた際には悩まれると思います。受験に重なったりすればなおさらですよね。
今回は中学3年生の子どもと一緒に家族で引越しした経験をお話しします。よかったこと、ちょっと困ったこと、参考にしていただければ幸いです。
引越しに対する家族それぞれの想いとは?
3度目の夫の転勤は、福島から島根への長距離の引越しとなり、会社はどれだけ私を悩ますのだろうとうんざりしました。長男は中学3年生、その下は2人の小学生という時期です。それぞれの想いはこんな感じでした。
母(私)の想い
それまでの私は、子どもが小学生に上がる頃になると子どもの環境が変わることに当然不安を覚え、いつの日か転勤の話がやってきたら夫に単身赴任をしてもらおうと思っていました。
しかし、いざ内示をもらうと不思議と迷いはあまりなく「一緒に行くしかない!」と思ったのです。これまで作ってきた私の家族がここで一緒にいられないことは考えられなかったのです。
それは距離のこともあったと思います。どちらかが東京や大阪なら距離があっても会いやすいしれませんが、福島県の太平洋側から島根では、年に何回会えるというのだろう…と思いました。二男はまだ小学生、「お父さんとここで引き離すことがいいはずがない!」と強く思ったのでした。
子どもの想い
2度目の引っ越しの時には、小学生の子どもたちは「お父さん、一人で行ってよ。」などと言うようになっていました。
中学3年の長男は、今回は高校受験も控えていて進学を希望する地元の県立高校もありましたので、当然残ると言うと思いました。
しかし、子ども達に聞いてみると意外にも穏やかに「家族で引越そう」と言ったのです。「父さんと別々に暮らすのはいいことだと思えない」とも言ってくれたのです。
父の想い
父親として当然、子ども達の環境が変わることへの懸念がありましたが、それ以上に彼は家族のつながりを重視しました。
「君たちのことは絶対に私が全力で守るのでついてきてほしい。」と真っ直ぐにお願いした姿は素敵でした。
それで結局「みんなで一緒に島根へ行こう」と、私は息子たちにシンプルに話し、家族全員で引越しをすることになりました。
家族引越しを選んで大変だった受験
家族で引越しした私たちでしたが、大変だったのはやはり中学3年の長男の受験でした。
まずは、中学で県立高校受験のテキストの一括注文を行っていましたが、全てキャンセルします。そして、転校先の中学校と密に連絡を取り、教科書の確認や、授業の進行具合を教えてもらいました。
生徒同士で精神的に助け合うことも大事な時期ですが、友達作りから行わなければならず大変だったと思います。
しかし、彼はすべて克服して、希望の県立高校に合格しました。立派だったと思います。
転校先の先生も、事前に良く連絡をとっていたことが良かったのか、丁寧に親身に応対して下さり心強かったです。
転校する子ども達に大切にしてほしいこと
実際その引越しで、長男には厳しい中3での転校を強いてしまいましたし、次男は三つ目の小学校に通うことになったわけで、それまで培ったものが何がしかあるとすれば、失うものも少なくはなかったと思います。
けれども、前を向いてほしかった、それがいちばんの私の気持ちでした。友達と別れなくてはならない辛さは、よく理解していたつもりですが、その分、人より多く訪れる新しい出会いを大切にしてほしいと思いました。大切にしていけるよう応援するのが私の仕事だと思っていました。
私自身は、失ったものは必ず、別のものをいただくくらいな気持ちでやってきました。私の境遇も変わっていくにつれだんだんしんどくなっていきましたが、私が落ち込んでいたら、子供達は救われない、それは事実だと確信して頑張ったつもりです。
子ども達にも、前任地に置いてこなければならなかったものの代わりのもの、いえ、その経験さえもプラスにして、自分が輝ける何かを得てほしいと伝えてきました。
転校による子どもの心のサポートは学校も地域もみんなで
親の理由で子どもたちも引っ越しをする場合、多くの親御さんは責任を感じ子どものケアを必死に家庭内だけで行おうとしていないでしょうか。私も初めはそうでした。しかし、子どもの環境適応をサポートするのは、親だけではなく、学校や地域の責任でもあるんです。
ちょっと小難しいですが、
地域住民にとって地域社会が構造化され、心理的に意味ある存在となるように、学校がアンカーポイント(個人と環境との相互交流を促進する機能をもつもの)としての役割を果たすなら、学 校、家庭、地域社会の連携を進めることができると考えられる。
引用
学 校 ・家 庭 ・地 域 社 会 連 携 の た め の教 育 心 理 学 的 ア プ ロー チ
小 泉 令 三
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/50/2/50_237/_pdf
というようにつまり、学校が子どもが環境に馴染むためのキーとなれたら、もっともっと学校と家庭と地域の距離が近くなって、社会に心を預けられるようになるんじゃない?特に転校のときには必要だよねって研究してる教育心理学の先生たちがいるんです。
まだまだ学校側、地域側の体制を変化させなきゃいけない段階だけど、私たちも学校や地域に興味を持って、パートナーとして考えていく意識が必要かなって思います。家庭だけで悩むのは時代遅れになっていくのではないでしょうか。
我が家のその後
それから数年後、長男高2、次男中2の秋のことでした。夫に転勤の内示が出て、次の行き先は島根から兵庫県となりました。
しかしその時、夫は「単身で行く」と初めから決断していました。会社への単身赴任希望の理由を見ると「長男、および、二男の就学状況を守るため」と彼は書いていました。
夫がそう書けるくらい、島根でも息子たちはたった2年半の間に、自分たちらしい学校生活を送れるまでに順応したということです。子ども達の成長を誇りに思っています。
子ども達のそのときの意見も、「今回は引越さない」でした。
家族引越しでも悪くない
親の都合で子どもを何度も転校させることには、否定的な意見もあることでしょう。しかし、そのときそのときの年代で考えも違います。よく子どもにも意見を聞いて決めたらいいと思います。
転校によって子ども達が得たかけがえのないものがあることも事実です。他人にはない逞しさが身に付いたことでしょう。ポジティブに捉え、冷静に子どもの意見を聞くことが大切だと思います。