転校生の女の子への一目惚れ、大切な一生の記憶
転校生に一目惚れ
僕が小学生のとき、同じクラスに女の子が転校して来た。自己紹介の時のはきはきと明るいその性格に惹かれて、僕はすぐに彼女のことが気になってしょうがなかった。
よく話を聞いてみると、引っ越してきた場所は僕の家からそう遠くなく、通学路は一緒の方向だった。
なかなか女の子と話すことが苦手な僕ではあったが、彼女が転校してきたその日思い切って一緒に帰ろうと誘ったのだ。しかし彼女の口からは他の子と帰るから今日はごめんねと言われてしまった。がっかりしたが転校生が来ることが僕の地区では珍しかったので、この時はしょうがなく一人で帰ることになった。
彼女からの誘い
しかし後日、僕に嬉しい誘いが彼女からあった。『引っ越してきたばかりだから、周りを案内して欲しい』という事で僕は初めて彼女と一緒に帰ることになった。
ドキドキとワクワクで、その日は帰りながら何を話したのか忘れてしまうほど舞い上がっていたのだが、その日を境に僕の帰り道の隣には、よく彼女の姿があった。
この時にはもう大好きだったかもしれない。しかしいきなり告白し振られたら、もう一緒に帰ることはできないかもしれない。そう考えると、今のままの関係が良いと思えた。
毎日のように一緒に帰り、気づけば中学生になった。幸い同じ部活で同じクラス。理由がなくても今までどおり話が出来るので私は嬉しかった。
中学の三年間も彼女が常に隣にいたのだが、肝心な『好き』という気持ちを伝えられないままだった。
再会と想定外の告白
高校に入学し、ついに彼女と別々の学校になってしまった。自分の知らない場所で彼女は毎日を楽しく過ごしているのかと考えていると、高校三年の秋、僕に一本の電話がかかってきた。
彼女からだった。久しぶりに聞く彼女の声が心地よく感じ、嬉しさからすぐに話がしたいと切り出した。そして、小学生の時によく遊んだ公園で待ち合わせすることになった。
その日彼女も僕に話があったらしく、最初に話を聞いたのだが、私には想像もできない話だった。
何と彼女は春からオーストラリアに留学するというのだ。今までこんなに遠く感じていたのに、もっと遠くに離れてしまうとは思ってもみなかった。
しかし、これは彼女の将来がかかった決断だと思うと、引き止めるわけにはいかない。なので僕は精一杯彼女を祝福した。
同時に、ここで私の気持ちを言わないと一生後悔すると思い、自分の今までの思いを全てぶつけた。
彼女はずっと気づいていたらしい。しかし、昔から留学するのが彼女の夢だったため、その思いに気づかない振りをしていたのだそうだ。
帰り際、彼女は僕にMDをプレゼントしてくれた。『私の気持ちが入っているから、聴いて』その言葉を残して彼女は先に帰っていった。
MDには一曲だけ曲が入っていた。バンプオブチキンの車輪の歌。離れ離れになっても、いつかまた会おうというメッセージが込められた曲だった。
いつかまた
彼女が旅立つ日、僕も一緒に行き、搭乗口の所まで見送った。
今もなお、彼女からオーストラリアからのエアメールが届く。いつかまた会えたら、大切だった思い出と共に彼女にプロポーズするつもりでいる。
遠く離れていても、気持ちはちゃんと繋がっていると感じているから。