引越しコラム column

父たかしの子連れ引越し(中編:娘4歳)


img_father-episode-02

2歳の頃はじめての引越しを経験した娘。その一年後、3歳になって川崎市内の近所の幼稚園に通い始めました。

それから更に1年が過ぎようとした、今から4年前(2011年)の3月上旬、パパに2年間の期間限定で転勤の命令が下りました。

行先は広島県。マンションを買って2年ということもあり、単身赴任も考えましたが、子どもが小さく、結局、一家そろって3人で広島へ引越しすることにしました。

ちなみに、その間、我が家を他人に貸すか、売却するか、いろいろと検討しましたが、結局は2年間の期限付きの転勤ということもあり、そのまま「物置き」とすることにしました。

 

ママの不安

さて、広島への引越し、結婚して4回目の引越しとなるママにとっても関東以外への引越しははじめてのことです。

東京生まれの東京育ちで、かつて東京から横浜に引っ越す時でさえ「横浜みたいな田舎には行きたくない」と言い放ったママにしてみると、広島なんて遠い異国のようなものです(ちなみに、パパは九州の田舎生まれで、かつて広島にも勤務したことがありました)。

しかも、川崎の幼稚園に入園した娘つながりのママ友との別れもつらそうです。ママが言うには

「ただのママ友じゃないの。はじめての幼稚園のママ友だよ。広島に行っても、知ってる人なんて全くいないし・・・」
やり場のない怒りと不安をパパにぶつけます。

パパとしては、黙って受け止めるしかありません。だって、パパの転勤なんですから・・・。

また、娘にしても、1年間通った幼稚園を途中でやめて、広島の幼稚園に行くということがどれだけ大変なのか、わかっていないようです。
結論から言うと、まだ年少クラスだったので、すぐに広島の幼稚園で友達もでき楽しく過ごせました。

 

思いがけない出来事

2011年3月11日。すべての日本人が忘れることのできない悲しい出来事が起こりました。

そう、東日本大震災が発生したのです。東京でも川崎でも、かなり激しく揺れました。

発生直後から約1週間、パパは被災地の営業所を支援するために岩手県へと突然の出張。

もしかしたら4月からの転勤も無くなるのかと思いましたが、結局、予定通りで、その間、引越しの準備は、すべてストップ。

後でママに聞いたのですが、この時は、引越しの準備以前に、自分たちの今の生活を確保するのが最優先とのことでした。首都圏ではコンビニから品物が無くなるし、電気も時間制で地区ごとに停電。しかも、福島の原発事故の影響から放射能が心配で、特に幼児は外に出てはダメだと言われ、心身ともに疲れ切っていたようです。

パパも被災地でヘトヘトでしたが、それ以上に、ママと娘も寂しい中、頑張ってくれました。岩手から我が家に帰ってきたときに、幼い娘が抱きついてくれたことは今でも忘れることができません。

 

原発事故と引越し

ところで、この思いがけない大震災と原発事故、我が家の引越しにも大きな影響を与えたのです。

まず、引越しのトラックが被災地への復旧・支援作業に使用するというので、ギリギリまで手配ができませんでした。

ギリギリに手配したこともあって、値段も結構高め。幸い我が家であるマンションを物置代わりにできたので、転居先にすべての家財道具を運ぶ必要はなく、確保したトラックでも問題なく荷物を積み込めました。

また、この引越しで最も印象に残っているのは、荷出し当日、マンションの隣人に挨拶に行ったときに、奥様から言われたひとことです。
「広島に逃げるんですか?」
「たまたま、震災前から転勤が決まっていました」
と言ったところで信じてくれないでしょうから、そのまま黙ってうなずきました。

隣の家の奥様も、まだ生まれたばかりの赤ちゃんをダッコしていたので、きっと本心では、放射能に汚染されそうな関東から一時的でも遠くに逃れたかったのだと思います。

 

案ずるより産むが易し

さて、なんとか広島への引越しも終わり、一番不安を感じていた娘の幼稚園への転入手続きも無事にすみました。

妻によると、年中から2年保育で子どもを幼稚園に入れる親も多かったので、新しいママ友がすぐにできたようです。

やはり「案ずるより産むが易し」という言葉どおりですね(「母は強し」の方があっているかな?)。ちなみに、その時のママ友とは4年経った今でも、メールで頻繁にやり取りするくらい親密な仲だそうです。

 

まとめ

2回目の子ども連れの引越しは、ハプニングだらけの1回目の引越しの経験を基に、計画的に準備するはずでしたが、誰も予想できなかった震災と原発事故の影響で、これまた忘れられない大変な引越しになりました。

しかし、すべてが終わった今だから言えるのかもしれませんが「無駄な経験はない」との言葉どおりだと思いますね。娘にとっても、そして、ママにとっても、引越しで2つの幼稚園を経験したことで、より多くのお友達を得たのですから・・・