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帝王切開になるケースとは?知っておくべきことを解説


帝王切開とは?

帝王切開とは、お母さんか赤ちゃんに何かしらの問題が発生し、自然分娩が難しいと医師が判断した場合に、手術によってお腹と子宮を切開し、赤ちゃんを出産する方法のことを言います。

現在の日本では、高齢出産が増えていることもあり、帝王切開率は20%を超えています。帝王切開は、出産の方法としては決して珍しいものではなくなっています。

「お腹を切るのは怖い…」「赤ちゃんに影響はないの?」と不安に感じるお母さんは少なくないでしょう。しかし、帝王切開はお母さんと赤ちゃんの体のことを考えて選択される、安全性の高い方法なのです。

帝王切開になるケースは?

  • 逆子の場合

帝王切開になる理由で一番多いケースは、「逆子」です。逆子のほとんどは帝王切開での出産になります。逆子とは、子宮内で赤ちゃんの頭が下ではなく、上を向いている状態のことをいい、出産時まで逆子が続く確率は全体の3~5%とされています。

  • 双子(多胎妊娠)の場合

双子や三つ子といった多胎妊娠になると、帝王切開による出産になることが多いです。もちろん、お母さんと赤ちゃんに異常がなく逆子でもなかったら、普通分娩をすることは可能ですが、少しでもリスクを減らすために帝王切開と判断する場合が多いようです。

  • お母さんの骨盤が狭い場合

「赤ちゃんの頭が大きすぎる」「ママの骨盤が狭すぎる」など、物理的な理由で、赤ちゃんが産道を通れない場合があります。そうなると自然分娩は難しく、帝王切開での出産になることが多いです。

  • 40歳以上の初産婦の場合

40歳以上の初産婦の場合、何らかの病気が合併していたり、お産の進みが悪かったりと、自然分娩でのリスクが高まることがあります。そのため、念のために帝王切開を勧める産院も多くあります。

  • その他、お母さんに病気がある場合

心臓や肝臓、腎臓、血液などの病気を持っていて、症状が重い場合は、母体への負担を減らすために帝王切開をする場合が多いようです。また、子宮筋腫が大きかったり、産道の近くにあったりして、子宮筋腫が邪魔で赤ちゃんが産道を通れないと判断した場合も、帝王切開での出産を選択します。

  • すぐに赤ちゃんを取り出さないと危険なケース

陣痛が十分きているのにもかかわらず、なかなか赤ちゃんが産まれない場合は、なんらかの異常がある場合が多いので、急遽帝王切開に切り替える場合があります。また、出産に30時間以上かかる場合は、お母さんが疲れてしまうことに加えて、赤ちゃんに大きな影響を与えてしまう危険性がありますので、この場合も帝王切開に切り替える場合が多いです。

 

帝王切開のお腹の切り方

  • 縦に切る

おへその下から垂直に切るのが縦切開です。手術時間が短く、赤ちゃんを早く安全に取り出せるため、緊急時には縦切開になります。特にお母さんからの要望がない場合も、縦切開になることが多いようです。

  • 横に切る

緊急性がなく、お母さんからの要望がある場合は、横切開にする場合もあります。横切開は、水着や下着になっても傷口が見えづらいので、希望する人が増えています。

帝王切開での出産の流れ

  • 手術日を決める

予定帝王切開の場合は、お腹の赤ちゃんの成長を考慮しながら、主治医と手術日を決めていきます。病院によっては手術をする曜日が決められているところもあるようです。なので、赤ちゃんの誕生日は予め決まっている、ということになります。

  • 入院する

予定帝王切開の多くの場合は、手術の前日から入院することが多いようです。
入院期間は、出産後7日から10日間くらいと、自然分娩よりも少し長めに入院するのが一般的です。

個人クリニックの場合、お部屋がきれいで、お料理がおいしいところが多く、クリニックによってはエステや足湯など、ホテル顔負けの設備が整っているところも多くあります。その分費用は高くなってしまうのですが、一生に何度か経験するわけではないので、せっかくなら思い切って贅沢してみてもいいかもしれませんね。

一方で総合病院では、大部屋か個室のどちらかを選ぶことが出来る場合が多いです。また、個人クリニックに比べて、専門の医療スタッフが多く従事しており、不測な事態が起きた時に素早く対応していただけるというメリットがあります。さまざまな疾患を抱えるなどして不安がある場合は、総合病院の方が何かと安心かもしれません。

手術前の検査と準備

手術日前日は早めに軽く夕食を済ませ、それ以降は絶飲絶食になります。手術当日の午前は、術前検査や準備を行います。排便・剃毛・消毒などを済ませて、午後から帝王切開手術をするのが一般的です。手術室に入ったら、横になり麻酔が行われます。麻酔には、全身麻酔腰椎麻酔硬膜外麻酔があります。

  • 全身麻酔

点滴に麻酔を入れるので、すぐに麻酔がかかるというメリットがあります。そのため、一刻を争う緊急の場合は全身麻酔になることもあります。全身麻酔の場合は眠っている状態なので、赤ちゃんの産声を聞くことはできません。

  • 腰椎麻酔・硬膜外麻酔

背中の脊椎(せきつい)から麻酔を投入し、胸の下あたりから足まで麻酔をかけます。腰痛麻酔は即効性がありますが、硬膜外麻酔は持続性があり、長時間の手術も可能です。お母さんの意識もあり、赤ちゃんの産声を効くことも出来ます。

 

赤ちゃんの誕生

お腹のあたりは、お母さんには見えないように隠していますので、お腹の切る様子は分かりませんが、お腹から赤ちゃんを取り出す感覚は分かるかと思います。(局所麻酔の場合)しばらくして赤ちゃんの産声が聞こえてきます。きれいに洗浄し、特に異常がなければ、赤ちゃんをお母さんのそばに連れてきて対面させてくれます。その間に、お腹の傷を縫い合わせます。お腹の中は溶ける糸を使用して縫い合わせて、一番外の皮膚はホチキスのような針でとめる場合が多いようですが、傷の処置方法は病院によって異なります。

  • 手術後のケア

術後1~2日は、帝王切開の傷の痛みと子宮が収縮する痛みも伴うため、この期間はちょっとつらいかもしれません。また、赤ちゃんは24時間ほど保育器で過ごすことが多いようです。その後、赤ちゃんの経過に問題がなければ、保育器から出て他の新生児たちと同じように、新生児室で過ごすことになります。

  • 出産後のスケジュール

麻酔科医が麻酔から覚めていく状態を確認し、お母さんの体調に問題がなければ、入院室へ移ることができます。

入院室へ戻るのは、手術室へ入ってから1時間半~2時間後くらいでしょう。入院室へ戻ったら、面会も可能です。また、この日は、着替えなども医療スタッフが行い、お母さんはゆっくり休みます。導尿カテーテルが入っているので、この日はトイレに行くことはできません。

その他、帝王切開について知っておくこと

・費用のこと

自然分娩は、出産時の保険は適用外のため、原則100%自己負担なのに対して、帝王切開の場合は、健康保険が一部適用され、高額医療費の対象にもなります。保険診療、自己診療部分は、下記の通りです。

  • 保険診療部分(3割負担)…手術や投薬、処置、検査、入院にかかわる費用など。
  • 自己診療部分(10割負担)…入院中の食事やベッド代、分娩介助、新生児の保育や検査にかかわる費用など。

その他、出産一時金や医療費控除の還付金なども条件を満たせばもらえるため、実際の自己負担は抑えることが出来ます。結果的には自然分娩とあまり変わらない金額に落ち着くことが多いでしょう。

 

・次の妊娠は?

次の妊娠で心配なことは、子宮破裂です。子宮破裂とは、手術で赤ちゃんを取り出すために切開して縫い合わせた子宮の傷が、次回の妊娠では裂けてしまうことを言います。それは妊娠中、出産時どちらの可能性もあります。そのため、帝王切開での出産の場合は、子宮の回復期間を、自然分娩よりも十分に取ることが必要です。その期間は、個人差によるところが大きいですが、最低でも1年と言われています。

また次回の出産も念のため、帝王切開という場合が多いです。

帝王切開の次の出産で自然分娩を目指すことをTOLACと呼びますが、一定の条件を満たした場合のみとなり、また受け入れをしている病院も多くはありません。

リスクも伴いますので慎重に考えましょう。

 

まとめ

帝王切開での出産についてまとめました。体のこと、費用のこと、今後のこと…不安なことが少しでも解消できるといいですね。体調を万全に整えて、元気な赤ちゃんを迎えましょう。