妊娠検査薬で陰性が出たのに実は妊娠していた!原因はなに?
妊娠検査薬で陰性が出ても妊娠している原因は?
ドラッグストア等で販売されている妊娠検査薬を使えば、病院で受診しなくても妊娠しているかどうかを手軽に調べることができます。しかし、妊娠検査薬は正しく判断できる時期がある程度決まっており、このタイミングを間違えてしまうと陰性反応が出ていたのに妊娠していた、といったことも起こり得ます。妊娠検査薬は用法を守り、正確なタイミングで使う必要がありますよ。今回は検査薬で陰性が出たにも関わらず妊娠しているケースにおける、いくつかの原因について解説します。
まずは妊娠検査薬の仕組みを理解しよう
妊娠検査薬が妊娠しているかどうかを判断する基準は尿中の「hCG値」と呼ばれる数値です。
hCGとは「Human Chorionic Gonadotropin」」の略称で、「ヒト絨毛(じゅうもう)性ゴナドトロピン」とも呼ばれます。このhCGは胎内の赤ちゃんを守り、着床後に胎盤になる部位から分泌されるホルモンなので、検出されれば妊娠を確認できるのです。
hCGホルモンは着床から3日~4日程度経つと尿にも混じるようになります。最初はごく少量ですが、その値は数日経つと急激に大きくなります。市販されている多くの妊娠検査薬は、尿中のhCG値が50IU/Lを超えると反応するようになっていますよ。そのため、妊娠した可能性のある方の尿を採取する必要があります。
陰性反応が出ても妊娠していることが…
妊娠している女性が妊娠検査薬を使ったとしても、陰性反応が出ることがあるのです。これにはいくつかの原因が考えられますが、主に下記の原因が考えられます。
- フライング検査であった
- 検査時期が遅すぎた
- 検査薬に反応しなかった(hCG濃度が低すぎる)
- 双子を妊娠している。もしくは、異常妊娠である(hCG濃度が高すぎる)
それぞれの原因と、その仕組みについて解説します。
フライング検査であった
妊娠検査薬においてカギともいえる尿中hCG値ですが、hCGは一般的に生理予定日(妊娠4週目)以降から分泌されるのです。このため、生理予定日の1週間後から使用できる妊娠検査薬が多いようです。万全を期すなら1週間半後のほうが良いでしょう。そのため、
◇前回の生理開始日 + 生理周期 + 1週間半
上記のタイミングを見計らって検査をする必要があります。しかし、生理不順で生理周期がわからない方は正確に検査可能なタイミングがわかりません。また、実際には妊娠していなくてもストレスから生理周期がずれこんでいる可能性もあります。
「妊娠検査薬を使って陰性の結果が出たが生理がこない…」という場合、あまりに心配なようでしたらいちど産婦人科を受診することをおすすめしますよ。
検査時期が遅すぎた
妊娠検査薬では、妊娠することによって分泌されるhCGの値が50IU/Lを超えると陽性反応が出ます。そのため、フライング検査の場合は正しい反応が出にくいのですが、逆に検査が遅すぎても正常な反応が出ません。
hCGホルモンは妊娠8週目~12週目にかけて急速に増大する特徴があります。本来であれば妊娠4週目に使うべき妊娠検査薬をこのピークのタイミングで使ってしまうと、検査薬が感知できるhCG量の上限を上回ってしまい、検査の精度が落ちてしまいます。
生理不順などで正確な生理周期を把握できない方は検査のタイミングが難しいかもしれませんが、「検査時期が遅かったのかも?」と少しでも考えられるようなら、産婦人科でより正確な診断をしてもらいましょう。
検査薬に反応しなかった(hCG濃度が低すぎる)
妊娠検査薬での判定基準は「尿中のhCG値」だけです。そのため、
尿が薄まっていると反応が出ない
パターンもあります。たとえば水分を多く摂取した日の尿はその分hCG濃度が薄まっている可能性があります。そのため、妊娠しているのに検査薬が感知するhCG値を下回ってしまい、陰性反応が出てしまうのです。
また、検査薬に尿をかける量が足らなかった場合も陰性反応が出るかもしれません。検査薬が反応できるほどのhCG値を満たすことができないためです。
尿の濃度は朝一番がもっとも濃くなるといわれています。朝であれば尿量も十分出るはずなので、妊娠検査薬は朝一番で使用するのがベストだといえるでしょう。
双子を妊娠しているときや異常妊娠のときは反応しないことも(hCG濃度が高すぎる)
hCGホルモンは赤ちゃんを守るため、胎盤になる絨毛組織から分泌されます。そのため、双子を妊娠しているとhCGホルモンの分泌量がかなり多くなります。
ひとりの赤ちゃんを妊娠している時と比べて、赤ちゃんを守るために必要なホルモンの量も多くなるというわけです。これにより、検査時期が遅かった場合と同じく、hCGホルモンが多すぎるために妊娠検査薬が正しく反応を示さなくなる可能性があります。妊娠検査薬で陰性だとおもったら双子を妊娠していた、といった事例も数多く報告されています。
また、子宮外妊娠などの異常妊娠や胎児に異常がみられる場合にもhCGが大量に分泌され、検査薬が陰性の反応を示すことがあるのです。
身体に違和感を覚えたり、不安な場合はすぐに病院で受診しましょう。早めの対応が今後のあなたと赤ちゃんのためにも必要不可欠です。
早期妊娠検査薬を使えば反応する場合も
通常の妊娠検査薬でフライング検査をしたため陰性反応が出た場合でも、早期妊娠検査薬を使用すれば陽性反応が出るかもしれません。早期妊娠検査薬はその名の通り通常の検査薬に比べて早い段階から妊娠の陽性反応が出るようになっています。より早く、妊娠の可否を知りたいという方にはおすすめです。ただし早期とはいえ検査結果が出る時期には限りがあるので使い方には注意する必要があります。
早期妊娠検査薬の特徴と使用時期は?
通常の妊娠検査薬では、生理予定日から約一週間半後を目安に検査できるようになりますが、早期妊娠検査薬では生理予定日まで待つことなく検査することが可能です。排卵日のおよそ12日~14日後(生理予定日の二日前)には検査できるのだそうです。ただし、正確な検査結果が欲しい場合は生理予定日当日に使用するのがベストだといえるでしょう。
また、通常の妊娠検査薬に比べ測定の精度が高く、水分を多く摂取して濃度が薄まった尿でもしっかりと反応します。
ただし、デメリットもあります。通常の妊娠検査薬は第2種医薬品ですが、早期妊娠検査薬は医療用対外診断用医薬品に分類されるため、薬剤師の方との対面販売でしか購入できません。
また、知らなくて済むはずの「化学流産」を知ってしまい、精神的ストレスを抱えてしまう可能性もあるのです。
化学流産とは妊娠超初期の女性が気付いていない時期に流産してしまうことを指します。この場合、早期妊娠検査薬で陽性反応が出てもその後の再検査では陰性になってしまうため、精神的なショックが大きくなる可能性があるといえます。早期妊娠検査薬を使う場合、これらのリスクも考慮したうえで決断しましょう。
気になる場合は必ず産婦人科で受診を!
いまは妊娠検査薬を使えば、病院を受診することなく妊娠の可否を調べることができる時代です。しかし、妊娠検査薬は正しい使い方・正しいタイミングで計測しなければ本来の反応を示さないという難点もあります。
赤ちゃんが欲しいと思っている人の場合、なおさら妊娠しているかどうかは気になるところですよね。しかし、妊娠検査薬で得られた結果に何度も一喜一憂するのは、母親になろうとする身体にはストレスになってしまいます。個人の判断だけで妊娠しているかどうかを決めつけるのではなく、正しい結果を知るためにも「妊娠したかも?」という場合はきちんと産婦人科で受診しましょう。